灰谷 健次郎

定価: ¥ 600
販売価格: ¥ 600
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発売日: 1998-03
発売元: 角川書店
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教育とは・・・
灰谷氏は作家になる前は教師だったそうで、本書もその片鱗が随所に見られました。なんといっても生徒たちの人間的な魅力は他の本に追随を許さず、現実の以上にリアルで人間的であったように感じられます。子どもらしい素直な感性、未熟な心など本当に素晴らしく描かれていました。
また、教師たちも人間としての至らなさ、教師としての限界などを踏まえた上で、本当に人間らしいの一言で形容できるほどリアルで、自然で、魅力たっぷりに描かれておりました。現代の教育がこうあるべきだと押し付けるのではなく―間違いなく本書の教育実践は現代では実現できないと思いますが―、一つの人間としてのあり方を提示しているにすぎない控えめなあり方が、私には好印象でした。
これを期に、灰谷氏のほかの作品も読んでみたいと思わせるには十分すぎる魅力をもった作品です。一読の価値・・・いや二読三読の価値のある作品です。これを読まずにいた今までの人生が、勿体無い気がしてなりません。
大人になって読んでみましたか?
小学校の時、夏休みの課題図書に必ず入っていました。しかし冒頭、ハエの精密な描写に辟易して、ついぞ読みきることはないまま大人に。30歳で初めて読みました。
最初の小谷先生が、まさに昔ハエに拒否反応を示した幼い自分と重なりました。
しかしここからが違う。まさにハエにしか興味を示さない鉄三の、内面に潜む知的好奇心、情緒を育んでいくのです。
私の子供時代にも、こういう老祖父母に育てられた、どこか感情に乏しい子はいました。鉄三の祖父もきちんとした人ではあるのですが、やはり言葉をたくさんかけて育てられないと、自分を表現するすべを、研くことが難しいのかも知れない。
クライマックスの、鉄三の書いた作文を読む小谷先生。この鉄三の作文、ガチガチに育ちきった自分には読めなかったのです。それをすらすら読む小谷先生に、鉄三と取り組んだ時間の重みを感じて涙が止まらなくなりました。
メインストーリー以外にも小谷先生の夫婦関係、鉄三の暮らす環境、父兄など大人が読むといろいろ見えてくるものがたくさん盛り込まれています。ですから児童文学として有名な本作ですが、私は灰谷さん自身は本当に「子供向け」として書いたのだろうか…と疑問に思います。
子供の時に読んだという方も、是非大人になった今、再度読んでみてはいかがでしょう?子供時代に気付かなかったものが見えてくるかも知れません。
すべての子どもが宝物を持っている。
単純に凄いと感じた。そして涙を堪えられない文脈がある。
新米女性教師の小谷先生が担任する1年生のクラス、男気ある足立先生、ゴミ処理場で臨時職員として働く人々の子どもたち。やがてハエ博士と異名をとるようになる勉強の出来ない鉄三。知恵遅れの子ども。
教育って何?共同体って何?幸せって何?
30年前の作品に触れて考える。現在と比較することが適切がどうかわからない。しかし、科学技術なる思想はおそらく大きな進歩を遂げていると認識されているのだろう。そんな中、人間同士がお互いを認めるという行為も同様に進歩をしたのであろうか。
本書がフィクションなのか、ノンフィクションなのかは知らない。だが、人間の生き方の本質が書かれていることに間違いはないと思う。
自分が通った小学校にも「特殊学級」という知的障害者(この障害者と言う言葉は昔から嫌いだ)の通うクラスがあった。それが普通であった。卒業アルバムにも同じように写真が載っている。全ての子どもが「宝物」を持っている、その宝物を子供が見つける手助けをするのが親や教師、そして社会なのだろう。
こんな当たり前の事を中年オヤジは忘れかけていた事に気が付いた。




















